レビュー祭

まさに冷や汗の瞬間だね。 / 04:現代 / d:ライト

イモ掘り / 04:現代 / d:ライト
注意事項：なし
読者的キーワード：こだわりクラッシック音楽　冷や汗

　たとえばあなたは熱狂的阪神タイガースファンの目の前で、星野はヘボ監督だとか、最近の阪神はまぐれ勝ちだとか、思っていても決して言えないだろう。ファンの前でそんなのうっかり口をすべらした日には、ヘタすると流血沙汰。後々までに後悔することになる。これはそういうお話。
　これは管弦楽部のお話なんだけど、市民オーケストラの先輩に気に入ってもらうために、先輩の好きなチャイコフスキーをよいしょしまくる室井君のお調子ものぶりが可笑しい。しかしオーケストラの演目はチャイコフスキーではなく、ドヴォルザークの曲で占められていることがわかり、室井君は先輩に同情するためにドヴォルザークをケチョンケチョンにけなし始めるが……。
　あまり言うと話の筋の想像がつきそうなので、言わないが、室井君にはその後、間違いなく冷や汗の瞬間が訪れる。そこまでのもって行きかたが実にうまい。私たちに身近な現実にも、こういうことってよくありそうだ。