レビュー祭

そして青春は過ぎてゆく。 / 04:現代 / c:シリアス

こえ / 04:現代 / c:シリアス
注意事項：なし
読者的キーワード：学園青春もの

　真剣にスポーツをやったことがあるなら、それが生きがいだと、それが青春だと思ったことがあるなら、これは胸に痛い話かもしれない。
　主人公は高校サッカー部のマネージャーをやっている。元からマネージャーだったわけではない。元は選手だった。しかし身体の故障で選手であることを断念せざるを得なくなったのである。彼は納得づくでマネージャーという道を選び、そこに迷いはない。迷いはないはずだった。しかし、とある部活仲間の会話を小耳にはさんだとき、彼の胸に苦い思い出がよみがえり、迷いが広がり始める。そして彼自身の本音の「こえ」が胸の内に広がったとき、やっぱりそれは封じ込めようと決意するのだった。
　サッカーはチームプレイだから、ただ、個人の「ボールを蹴りたい」の気持ちだけでは続けていけない。本音と葛藤する青春、これほど胸に痛い話はない。