レビュー祭

願わくば幸せな微睡みを / 01:FT / d:ライト

影よ、金色の晩霞に瞑りを/01:FT/d:ライト
番外編注意事項：性別注意事項なし / 表現注意事項なし / （本編年齢・性別注意事項なし） / （本編表現注意事項なし）
読者的キーワード：もうひとつの。

※まず最初に、当企画の参加資格である「条件3）本編未読の方でも読める内容であること。」に則り、私はどの番外編も本編は一行たりとも読んでいません。その上でレビューしていますので、本編を読めば解ると思われることなども、敢えて番外編のみの作品として捉えて書いています。 その点に関する誤読等ありましたらご容赦ください。

シイナさんに、どうか幸せな眠りが訪れますように。
そして、いつか、その影を癒す光が現れますように。
泣けるほどに切ない思いを胸に、ずっと仇を追い続けてきた彼の、仇を討ったその後がとても心配でなりません。
これからは前を向いて歩けるでしょうか。光のさす方へ歩いて行けるでしょうか。
ほんの些細な分岐点が、こんなにも一人の人間を追いつめ、変えてしまうのですね。
願わくば、彼があの人の後を追ったりしないように。ガリーナの、もう二度と会えない筈だったガリーナの存在が、その接点が、少しでも彼を癒してくれますように、と願ってやみません。

『私は貴方を信じなかったんじゃなくて、貴方を信じたんですよ。キリア』

この言葉に、彼女の『聖女』たる所以が見えた気がしました。
真実に気づくことなく、けれど真実を本能で理解していた、それほどまでに相手を思えることが出来るガリーナの強さは素晴らしいと思います。
普段どんなに村人達に迷惑をかけていようとも、それでも村人達がガリーナを嫌わないのは、こんなところにも理由があるのかな、とも思いました。

とても切ない物語で、出来れば、本当に出来れば、分岐点まで遡り仇を討った彼の還ったそこにも、あの人の存在が蘇って居ていて欲しい。無理だろうとわかっていても、それが『分岐点』であって『過去』ではないから無理なのだろうと思ってはいても、そう願ってしまうほど、シイナさんの思いは胸に届きました。

『――幸せになれよ、ガリ。これが俺の誕生日プレゼント』

泣けます。