惹き付けられる一瞬の対比 / 05:ミステリー・歴史 / b:ダーク

白き邂逅 / 05:ミステリー・歴史 / b:ダーク
番外編注意事項:性別注意事項なし / 表現注意事項なし / (本編年齢・性別注意事項なし) / (本編残虐表現あり)
読者的キーワード:闇

おもしろい。
読み終わった瞬間に、なんだかわからないけどそう思った。思った瞬間に、ぞくぞくっとした。
何がおもしろいのか、説明するのは難しい。物語に感動的な何かがあったわけではない。ただ少年が妹のために大金をつくろうとして、冬の夜、寒さに震えながら街頭に立っている。自分の身を売って大金を得るために。

その描写の細かさと、描写が産むその町の、その少年が立っている場所の暗さ。彼の決心と身体を売ることへのおぞましさと震え。その暗い街で生きている人々の重さ。

その「暗い」世界が語られる文章の中、女帝を語る「聖女の如く」「修道女のごとく」という言葉は異物にしか過ぎない。その一瞬の対比に惹き付けられた。

この少年はどうなるのだろうと、ただそれだけを知りたくて読み続け、最後に少年は出会う。それもまた、少年の置かれている世界とは違う「労働を知らない華奢な手」に。
それから少年はどうなったのか、語られてはいない。物足りなさは、次の文章で興味に変わる。7年後を語られた3行の文章。本編、読めってか! そりゃないぜ! と思わされたらもう読むしかないやろ・・・・・・。

いや、でもここまで極力感情を排除した硬質(に感じられた)さのある文章。それでもその世界の空気を描いているこの文章でどんな小説が書かれているのか興味がある。

まぁ、ざっくばらんに言えば。この文章、描き方、とてもツボやわ・・・・・・。

:07/16登録

自己紹介

白き邂逅
概要: 番外編:白き邂逅 本編:夜の囁き 注意事項:  性別注意事項なし / 表現注意事項なし / (本編年齢・性別注意事項なし) / (本編残虐表現あり) 作者名:上庄巧馬
From: 禁じられた言葉---番外編競作2---
Date: 2004年07月17日 11:56
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