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王道の恋 (おとわ著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編/完結(シリーズ続編連載中)
紹介文:
 『銀王宮年代記』シリーズ1作目。炎のように激しい気質を持つ王子リュ・リーンは招かれた宴で出会った舞手に心奪われる。しかし、彼はその少女と、数年ぶりに再会した友、ダイロン・ルーンの仲を想い、葛藤に苛まれる……。――友情と恋愛の狭間で揺れ動く少年を追い詰める国家間の謀略・故国の内争。結末まで楽しめる恋愛小説だが、国同士の駆け引きに対する嗜好度合いで好みが分かれるかもしれない。

冒頭文章抜粋:

「ねぇ、思い出さないこと?」
 彼女の声に答えるように、暖炉のまきが大きな音で爆ぜた。灰色虎の毛皮の上を炎の影が躍る。同じように彼女の横顔にも……。
「あぁ……。もう何年になるかな」
 花の香りのする彼女の髪を優しく撫でながら、彼は炎の中に昔日の二人の姿を重ねていた。
『我が恋は王者の恋なり。死してもなお、その炎は消えじ』
 青臭い。今から思えば随分と大胆な啖呵たんかを切ったものだ。心の中で苦笑すると彼は背後から彼女を抱きすくめた。
 後悔する恋などしていない。誰がなにを言おうが、これが自分の唯一、絶対無二の恋……。
 彼女の細い指が自分の頬に触れるのを感じた。暖かい日だまりのような感触。
 抱きしめているのは自分のほうなのに、なぜか逆に自分が抱きしめられているような錯覚を覚えて、彼はゆっくりと瞳を閉じた。
 その心地よさに浸るように……。

2002.02.20 現在
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月蝕―Eclipse― (風間あきこ著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編/不定期
紹介文:
 仕事を終えたばかりの傭兵フォルマティオは、出会ったばかりの美しい少年マティスに護衛を頼まれた。
 マティスは命を狙われているのだが……。
 読みやすく流れるような文体と、静かな中にも索引力のあるストーリー展開が絶妙。

冒頭文章抜粋:

 目の前を優雅に歩いていく足首には銀の華奢な飾り輪が付いていて、歩くたびに拍子を取っているかのように小さく硬い響きをあげている。もともと足首の飾り輪は奴隷に付けられるもので、このように人前に曝すような種類のものではないのだが、白い肌に映える紅い宝玉の付いた飾り輪は美しく、誰もそれを見て眉をひそめるものなどいなかった。おそらくはお気楽貴族のちょっとしたお遊びだとでも思っているのだろう。

 今、フォルマティオの目の前を歩き、いささか彼を悩ませている人物の名はマティス。細身の身体はどこか儚げだが、その動きは敏捷で、肩にかかる僅かに癖のある細い銀の髪と日に焼けない白い肌は最上級の美を人に予感させずにはいない。
マティスがお気楽貴族なら、フォルマティオはそれを守る騎士とでも思われているだろうか。砂漠のもの特有の浅黒い肌と琥珀の瞳は年の割に落ち着いていて優しげにさえ見えるものを、その右目から頬にかけての引きつった大きな傷がそれを裏切る。

2002.01.20 現在
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イルファーラン物語 (冬木洋子著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:大河/連載(不定期)
紹介文:
 異世界から来るという魔法使い<マレビト>を描く剣と魔法のファンタジー。
 <マレビト>であるのに、特別な魔法どころか普通の者が使う魔法さえ使えない青年アルファードと、そこへやってきた少女里菜の、成長とためらいがちな恋を描く。詩的な情景描写が魅力的で、また、展開もテンポが心地よい。

冒頭文章抜粋:

                    (――引用――)
 劫初(ごうしょ)に、母なる『混沌』があった。
 母なる『混沌』は、父なる『時』の精を受け、二柱の兄妹神を産み落した。
 すなわち、昼と光、生命と成長とを司る女神エレオドリーナと、夜と闇、死と安息とを司る男神タナートである。
 光と闇、昼と夜が生じた時、母なる『混沌』は死んだ。
 そのなきがらは、三つに分かれ、天と地と、そして黄泉とになった。

2001.09.10 現在
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イマルークを継ぐ者たち (テラ著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:大河 /連載(不定期)
紹介文:
 創造神は与えたもうた。世界を、そして、巡り巡りゆく運命を……。
 太陽の娘《リスタル》エノリアは、宮に幽閉されていた。金色の髪瞳を持つ太陽の娘《リスタル》は唯一無二の存在なのだが、彼女はその“2人目”なのである。ある日、月の娘《イアル》の手助けを得て、宮から抜け出したエノリアだったが――。
 独特の世界観で展開される異世界FT。紡がれる想いが時間を忘れさせてくれる。

冒頭文章抜粋:

 創造神《イマルーク》は、まず光《リア》と闇《ゼク》を創った。
 その間から大地《アル》と大地の娘《アラル》が生まれた。
 創造神《イマルーク》は大地《アル》に祝福の接吻をした。
 そこからは太陽の娘《リスタル》と月の娘《イアル》が生まれた。
 創造神《イマルーク》は光《リア》と闇《ゼク》に祝福のキスをした。
 そこからは火《ベイ》が生まれ、水《ルーシ》が生まれ、風《ウィア》が生まれ、弟である調和神が生まれた。

2001.08.25 現在

アリューザ・ガルド〜万象還元編〜 (とみ〜著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:大河/完結
紹介文:
 ニーヴルによる反乱に終止符が打たれて後、13年。平和に過ぎ行くフェア・アルム、その高原の麓でルードは平凡な毎日を送っていた。そう、道に迷い、“少女”と出会うまでは……。
 クラシカルな雰囲気の漂う、正統派異世界ファンタジー。しっかりとした世界観の中で繰り広げられるドラマは、この上もなく壮大。

冒頭文章抜粋:

 幾百年、いや千年近くにわたって存在していたのかもしれない。
 まるで時間など関係無いかのように、その木はごつごつとした枝をあいも変わらず緑の葉で覆い、青い空の下にある草原を薄暗く包む。巨木というに相応しいそれは、森の中のあらゆる木を圧倒しそこにあった。
 畏怖。
 何も知らない人がこの木を初めて見たら、そんな言葉さえ浮かんでこよう。
 「中」は、樹木である事を否定するかのような、石造りのまことに人工的な家。
 そこには今現在二人の人間がいた。

2001.08.25 現在
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