オンライン小説紹介集 

2003.10.10 1作品登録

神の願いに眠る惑星 (立神勇樹著) 作品直リンク HOME

ジャンル:古代日本風ファンタジー
長さ:長編/完結
紹介文:
 まほろばを支配する天照大御神、その子どもたちである五氏族は《命(みこと)》と呼ばれる霊力を授かっている。
 蒼の一族のみづきもそのうちの1人。姫とは言っても名ばかり、そんな自分によくしてくれた兄、碧羅王(へきらおう)のため、彼女は戦場へ赴きたいと願ってはいるものの、それもままならない。
 だが、歯がゆい思いを感じていたみづきは知らなかった。まほろばに在る真実に……。――古代日本をモチーフにしたファンタジー小説。キャラクターの個性が強く、歴史ドラマを見ているようにハマることができる。恋愛要素が好きな方などにもオススメ。

冒頭文章抜粋:

 出陣の祝詞(のりと)を述べる祭司(さいし)の声が、冷たく静まり返った蒼麗宮(そうれいぐう)の本殿に響きつづける。
(退屈なだけだわ、出陣式だなんて)
 天照(あまてらす)の五氏族のみが座れる桟敷(さじき)で、みづきはうつむいていた顔を上げ、顔にかかっていた蒼銀の髪を払うと、神妙に祝詞を聞き入る氏族の人々を御簾(みす)越しに見渡した。
 まず氏族に連なる人々や着飾った采女(うねめ)達が、中央をぐるりと囲んで座っているのが目に入り、次に、中央に造られた(だん)の上に今度の戦に赴く将が、白銀(しろがね)の鎧と各々の氏族の彩布(あやぬの)で身を覆った姿で座っているのが見えた。
 みづきが口を引き結び、壇上の二人の青年をにらみ付けていると、側にいた若い女性が、溜息に似た静かな笑いをもらした。